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防府薬剤師会のあゆみ

〈 その2 〉

松村薬局 松村 敏輔

 前回昭和24年当時の会員の全貌について申し述べましたが、今回は当時会長がどの様にまとめられ運営されていったかなどについて思い出すままにお伝え致しましょう。

 先ずは例会、当時のことを申し上げる前に皆様の頭に入れておいて頂きたいのは、市場に物が無い。当然医薬品も然り又面倒な規制もさして無かった時代であったことです。従って当時の例会の主な議題は価格の協定に終始した様に思います。

 毎日のように新しい商品が市場に現れ加えて値段の変動(上昇)の期間も短く値上がり商品の価格はどうするかなど、結局は品薄の時流にのって新価格で行くことで一致、ラベルの貼り替えが大変であったことを思いだします。その外局方品のアルコール、クレゾール等々細部にわたり価格を協定し例会時には約束を確かめ合い、時には戒めたり致し乍ら何とか安定を保つことが出来たと思います。

 今思えば品薄時代の薬局経営は一面活力があり所謂儲かった時代であったと云えるでしょう。後のことになりますがこの価格安定の地盤が逆に裏目となり他のスーパーなどの参入を誘導し新聞での薬業界との論戦はこの参入に対して大いなる宣伝効果を生み出す結果に至りました。それを契機に医薬品価格にも変動をもたらす時代へと変貌することになります。

 例会の場所は、適当な場所が見当たらず数名の会員の御好意で自宅を提供して頂き輪番で引受けて頂いた様な状態でした。然しこれも二年余り続きましたが幸いに旭薬品の管理者住宅の二階を借用することが出来以後は全てこの場所が薬剤師会の会合場所になりました。

 余談になりますがそんな物不足食料不足の時代に薬剤師がそれなりに考えた二,三の事例を紹介致しましょう。フェナセチンの入手ルートを持っていたものは、二行程位の処理でズルチンを合成、純度の高さが好評(ヤミ屋の品は不純物が多かった)薬剤師の評価も高めた。ソーダ灰(無水炭酸ナトリウム)を入手し、之に水を加えて炭酸ナトリウムの結晶(洗濯ソーダと呼ばれていた)を作る。くず茶よりカフェインを取り出す。カフェインの昇華性に気付き砂皿の上にくず茶を盛り大型ロートをゴム管で冷却しながら加熱すると美しいカフェイン針状結晶が多く付着したが、時既におそく市場にはメーカー品が出現して来た。

 当時を思い起こすと、物不足時代とは一面では面白い時代であった様にも思えるのです。
(広報誌「清流」第42号(1998.12.15)より)

 

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